行為障害「うちの孫は発達障害?」母親に要求を蹴られて逆上し、暴力行為に及ぶ小6女子の「いつものパターン」


2019年11月26日のヨミドクターの記事から。
本当にこんな感じになります、泣き叫んだり大声を出したり本当に本当にどうしたら良いか分からなくなります。

A子さんは東京近郊に住む小学6年生の女の子です。5年前に父親を病気で亡くし、母と弟、そして母方の祖父母と5人で暮らしています。

 小学校最後の夏休み頃から、「お母さんが自分の要求に従わない」と頻繁にキレるようになり、暴れたり、物を壊したりするようになりました。

 自分の娘の突然の 変貌へんぼう に参りきった母親は、体調を崩して仕事を休みがちとなり、精神科に通院するようになりました。同居する祖父母が、「発達障害についてテレビで見た。A子がそうではないか」と、2人そろってクリニックにやってきました。

 最近は、発達障害の特集などが放映されることも多いため、心配になった家族が受診されることが増えています。突然、A子さんが粗暴な行動を取るようになったことで、祖父母はテレビで見た「行為障害」の心配をしているようでした。

 30代の若さで夫を突然亡くした娘を心配した祖父母は、A子さんの家族と同居することを申し出ました。仕事で忙しい娘のために、掃除や洗濯、食事作りに加え、孫のA子さんや弟の育児も、祖父母が積極的に手伝ってきました。

 父親を亡くした孫のショックを少しでも癒やそうと、祖父母らの親戚は協力して、一緒に旅行に行ったり、クリスマスやお正月、誕生日には集まって過ごしたり。小さな子ども2人の精神的な支えになるように、努力してきたそうです。

 大きな悲しみを背負ったA子さんも、祖父母や親戚の援助もあり、徐々に元気を取り戻していったそうです。6年生になるまでは、とりたてて大きな問題もなく、勉強や運動も問題なくこなし、親しい友達もいたそうです。

 A子さんの祖父母は、孫に対して口うるさく、言葉遣いなどには厳格であり、「~しなさい」「~してはいけない」と、きちんとした 躾しつけ をしてきました。実の娘であるA子さんの母はもちろん、孫のA子さんも従っていました。

 しかし、A子さんは6年生になると、急に態度や言葉遣いが反抗的になりました。
 母親や祖父母が何かを言っても、「うぜぇ」「うるせえ」「死ね」「くそ」などの言葉を吐き、勉強や家での手伝いもしなくなりました。3歳年下の弟が大切にしているマンガを破いたり、いじめて泣かせたりも増えていきました。

ピアノを壊し、カーペットに刃物を突きつけて
 夏休みのある日のことです。
 A子さんは、同級生と近所のお祭りに行くために、お小遣いが欲しいと母に要求しました。母親は、「小学生の子どもたちだけで行くのはダメ。お小遣いも渡せない」と伝えました。するとA子さんは「私の気持ちを全然わかっていない」と大声で泣き叫びました。困った母が祖父母に相談しようとすると、いきなり逆上したA子さんは、キッチンで小麦粉や砂糖を床にぶちまけて、更に泣き叫びました。
 結局、母が折れて、出かけることを許可し、お小遣いを渡しました。

 この一件がA子さんを増長させたようです。
 欲しいものを買えとねだったり、お小遣いの増額やクルマでの学校への送迎なども要求したりするようになりました。それを母が断ると、大声を出して暴れるだけでなく、ペットボトルの水やお茶をぶちまけたり、ピアノの鍵盤を壊したり、さらにカーペットに包丁を刺したりといった乱暴な振る舞いをするようになりました。

 こうなると、祖父母が介入しても、なかなか収束しません。手が付けられずに、警察に連絡をしたこともあったそうです。

自分は治らないかもしれない・・・
 話をよく聞いてみると、トラブルになると、この母娘はいつも同じパターンを踏んでいることがわかりました。何か無理な要求をするA子さんに対して、まず母親は「絶対だめ」と強く拒否します。A子さんが暴力行為に及び、それがエスカレートして激しいやり取りになると、母が譲歩し、娘の要求を受け入れて落ち着くのです。

 だからと言って、親子関係が常に険悪なわけではありません。A子さんの機嫌が良いと、一緒に買い物や散歩に出かけ、穏やかに過ごすこともあるそうです。
 私は、祖父母を通じて、A子さん母娘にクリニックに来てほしいと伝えました。

 間もなく、母親とA子さんが二人でやってきました。
 青白い顔をして、疲れ切った表情の母親の口からは、「A子は 外面そとづら が良い。ちょっと話しただけでは、本当の姿はわからないと思う」と前置きされました。そして、「学校や塾への送り迎え、夜遅くの買い物などに付き合わされる。仕事で疲れていても、寝不足でも、私が言うことをきかないと暴れられる。従わざるを得ない」「娘に対する言葉遣いが悪いと、わざわざ言い直しをさせられ、謝罪までさせられる」など、A子さんの命令支配に母親が従っている様子が語られました。

 一方のA子さんは、「イライラすると、やり過ぎてしまう。自分ではどうしたらいいかわからないし、いつも後で後悔する」と切り出しました。母親や祖父母の見方とはずいぶんかけ離れているようです。「コントロールできないから、自分は病気かもしれない。だったら、治したい」とも言います。

 いつも自分がとってしまう行動をA子さん自身が悔やみ、反省をしていることは間違いなさそうです。さらに、「発達障害ではないか」と祖父母が心配していることを知っており、「自分は治らないのかもしれない」と不安も感じているようでした。

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