大阪府高槻市で、知的障害者や発達障害者がレストランのメニューを選びやすくするためのユニークな試みが行われました。この取り組みは、多くの情報を処理することが難しい障害を持つ人たちにとって、飲食店での注文を容易にすることを目的としています。
一日限定で開催されたこのレストランでは、クイズ形式を取り入れてメニュー選択を行いました。例えば、来店客が入店すると、スタッフは「『いらっ○ゃいませ』○に入る言葉は?」といったクイズを出し、客は選択肢の中から答えを選びます。このユニークなアプローチは、参加者に楽しみながら注文のプロセスを経験させ、障害の有無に関わらず全ての客に喜びを提供しました。
「Lean on Me」というオンライン研修機関を運営する志村駿介代表は、障害者への理解を深めるこのイベントを主催しました。志村代表によれば、このレストランのコンセプトは、間違えても笑えるようなクイズにすることで、障害者を含むすべての人が楽しめる環境を作ることにありました。
客は飲み物の氷の有無や、ピザやパスタなどの食事の選択を、選択肢の絵が描かれたボードと共に行いました。このプロセスでは、客は「○×」や数字が書かれたカードを使って、従業員に対し自分の意思を示しました。
この取り組みは、2023年4月に施行される改正障害者差別解消法に基づくものであり、これまで国や自治体に限定されていた「合理的な配慮」の義務を事業者にも拡大することを目指しています。志村代表は、このレストランの試みを通じて、障害者に対する合理的な配慮に関心を持つ飲食店に新たなモデルを示したいと語っています。
イベントには約60人の来客があり、障害のある子供を持つ家族や子連れの家族が参加しました。例えば、知的障害と自閉症を持つ安里慎太郎さん(28歳)の母親は、このレストランが息子に直接メニューについて尋ねてくれ、息子が自分で選べたことを喜んでいました。
このような取り組みは、障害者が社会の一部として受け入れられ、自分の選択を行うことができるような環境を作る上で非常に重要です。それは、障害者だけでなく、全ての人々が楽しむことができる包摂的な社会を作る一歩となります。